心に残る映画を紹介して欲しいのですが。
それは、『アイヒマン・ショー』。
イスラエルの諜報機関が1960年5月11日にアルゼンチンで拘束したナチス親衛隊の中佐だったアイヒマン。
彼の裁判が1961年にエルサレムで開かれようとしていた。
ユダヤ系アメリカ人のプロデューサーだったミルトンは、その裁判をテレビで世界に伝えようと、同じくユダヤ系米国人のドキュメンタリー映画監督のレオに監督をオファーする。
この映画は、その実際の映像を混えながら、ミルトンを初めスタッフが幾多の障害を乗り越え、世界に大きな衝撃を与える番組を完成させるまでを描く。
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『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』あらすじ
1961年、イスラエルで、元ナチス親衛隊(SS)中佐アドルフ・アイヒマンの裁判が開廷されようとしていた。
アイヒマンは、“ユダヤ人問題の最終的解決”、つまりナチスによるユダヤ人絶滅計画(ホロコースト)を推進した責任者だ。
15年による逃亡生活の果て、アルゼンチンでイスラエル諜報機関モサドによって拉致されたアイヒマンは、イスラエルに移送後、エルサレムの法廷で裁かれることになった。
このテレビ放映権を獲得したのは、アメリカの若き敏腕TVプロデューサー、ミルトン・フルックマン。
ミルトンは、テレビマンとして強い使命感に駆られていた。
悪名高きナチスの戦争犯罪人の素顔を暴くためには一流の監督が必要だと考えたミルトンは、才能があるにも関わらず、“赤狩り”で職を失っていた米国人ドキュメンタリー監督のレオ・フルヴィッツにオファー。
世紀の裁判をテレビ放送し、ナチスがユダヤ人にしたことを世界に伝えようとする。
ナチス戦犯アイヒマンを前に生存者たちが語る証言は、ホロコーストの実態を明らかにするまたとない機会だった。
政治の壁、技術的な問題、さらにはナチの残党による脅迫などさまざまな壁を乗り越え、撮影隊は裁判の初日を迎える―。
『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』登場人物
ミルトン・フルックマン 主人公のプロデューサー
エヴァ ミルトンの妻
レオ・フルヴィッツ 監督
ダヴィド 顧問弁護士
ジュリー 秘書
ランドー ホテルのフロントの女性
アラン 製作助手
ロルク
ヤコフ カメラマン
ミレク
フレッド
アラン
ロン
ロイ
『アイヒマン・ショー』予告篇(YouTube)
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※ネタバレあり注意
実際のアイヒマンの写真
『アイヒマン・ショー』解説
1961年、ナチスドイツによるホロコーストの実態を全世界に伝えるために奔走したテレビマンたちの実話を映画化。
プロデューサーのミルトン役に、「SHERLOCK シャーロック」のワトソン役で知られるマーティン・フリーマン。
監督のレオ役に、ドキュメンタリー監督役をテレビシリーズ「WITHOUT A TRACE FBI 失踪者を追え!」のアンソニー・ラパリア。
監督は「アンコール!!」のポール・アンドリュー・ウィリアムズ。
2015年製作/96分/G/イギリス
原題:The Eichmann Show
『アイヒマン・ショー』感想
逃亡していたアイヒマンがイスラエルの諜報機関モサドに拉致されるきっかけを作ったのは、ユダヤ系のドイツ人検事のフリッツ・バウアーで、その経緯は映画『アイヒマンを追え!』に描かれている。
バウアーから情報を得たモサドは、アルゼンチンでアイヒマンを拘束した、
1960年5月11日、アイヒマンがバスから降りて自宅へ帰る道中、路肩に止めた窓のないバンから数人の工作員が飛び出し、彼を車の中に引きずりこんだ。車中で男たちは親衛隊の制帽を出して彼にかぶせ、写真と見比べて「お前はアイヒマンだな?」と尋ねた。彼は当初否定したが、少し経つとあっさり認めたという。
その後アイヒマンは、ブエノスアイレス市内にあったモサドのセーフハウスに置かれた後、5月21日にアルゼンチン独立記念日の式典へ参加した、イスラエル政府関係者用のエル・アル航空のブリストル ブリタニアで、イスラエルへ連行された。出国の際に彼は、酒をしみこませたエル・アル航空の客室乗務員の制服を着させられた上に薬で寝かされ、「酒に酔って寝込んだデッドヘッド」として、アルゼンチンの税関職員の目をごまかしたという。
引用元 Wikipedia
要するにアルゼンチンの主権を犯してアイヒマンを拉致したわけだ。
『アイヒマンを追え!』もこの『アイヒマンショー』も、そのことに触れないのはなぜだろうかと思う。
偽名でアルゼンチンに潜伏していた人間だからアルゼンチン政府は構わないのだろうか。
次に疑問を感じたのは、この映画で有罪にできるかどうかの焦点。
「鉄道が使えないので私の提案でブダペストからオーストリア国境まで歩かせた」
という供述に基づき、ハウシュナー検事長が、「提案したんですね」と裁判で確認する。
今まで無罪を主張して来たアイヒマンだが、ここで「確かにその点は認める。イエス」と述べてしまい、有罪が確定する。
この提案認否が有罪か無罪かの岐路になるのは分かりにくい。
これを認めたことでアイヒマンは有罪になり、翌年、絞首刑に処される。
アイヒマンも「提案」を認めたことで死刑になるとは思わなかったのではないだろうか。
ナチスが行った非人道的な虐殺や惨殺は許せるものではない。
だが、アイヒマン関しては、アルゼンチンでモサドが拉致したことと、裁判において「提案」したことを認めたから死刑というのは、本当に民主的な裁判と言えたのか疑問を禁じ得ない。
監督のレオが、ずっとアイヒマンに拘る。
「何が、子煩悩な平凡な男を変えたのか。我々と同じ人間を」
と言ったことに対しカメラマンのヨセフが「我々とは違う」と反論する。
「状況によっては誰もがファシストなり得る」と言うレオに対し、ヨセフは、
「私はならない」と言い返す。
筆者がナチスを扱った映画を観る理由はまさにそこにある。
普通の一般的、家庭的な人間が惨殺も厭わなくなってしまうのが戦争というものではないか。
自分が一度ナチスの中に入ってしまったら、ヒムラーやハイドリヒやアイヒマンのようになってしまうかもしれない。
命令を拒否すれば自分が射殺されてしまう状況で庶民を処刑せよと命令された時、私もあなたも、命令を拒否できるのだろうか。
この裁判の判決文に、
「たとえ被告が盲目的にせよ、命令に従ったにせよ、かくも重大な犯罪に加担した人間は最大級の罰を課されるべきである」
とある。
戦争において上からの命令に背くことは死を意味する。
国の命令に従っただけの人間を裁いて死刑ににすることに抵抗があるのは私だけだろうか。
直に虐殺に関わった証拠はなかったのだろうか。
筆者は率直な疑問を2点述べたが、決してナチスを肯定するものではないことを強調しておく。
『アイヒマン・ショー』配信
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『アイヒマンショー』データ
題名 『アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち』 原題 『The Eichmann Show』
公開日 2015年1月20日
上映時間 96分
製作国 イギリス
言語 英語
『アイヒマン・ショー』キャスト
ミルトン・フルックマン( Milton Fruchtman)役 マーティン・フリーマン(Martin Freeman)September 8, 1971年9月8日生まれの英国の俳優。テレビの『SHERLOCK』 (2010) のワトソン役、 『ファーゴ』 (2014)、『スタートアップ』(2016-2018)、映画の『ラブ・アクチュアリー 』(2003) で知られる。
レオ・フルヴィッツ(Leo Hurwitz)役 アンソニー・ラパーリア(Anthony LaPaglia)1959年1月31日生まれ。オーストラリア出身の俳優、プロデューサー、脚本家。1998年にアーサー・ミラーの舞台『A View from the Bridge』でトニー賞、2002年には『そりゃないぜ!? フレイジャー』でエミー賞、2004年には『FBI失踪者を追え』でゴールデングローブ賞を受賞。映画にも数多く出演。 テレビ『FBI失踪者を追え』 (2002),、『エンパイア レコード』 (1995) 、『Lantana』 (2001)の俳優としても知られる。
ミセス・ランドー(Mrs. Landau )役 レベッカ・フロント(Rebecca Front)1964年生まれのイギリスの女優、作家、コメディアン。2010年、BAFTA TV 賞 (ベスト女性コメディパフォーマンス)を受賞
デヴィッド・ランドー (David Landor)役 アンディ・ナイマン(Andy Nyman)1966年4月13日生まれ。英国の俳優、声優、テレビプロデューサー、マジシャン。レスター。ギルドホール音楽演劇学校卒業。2017年、ダイソンと共同で脚本・監督した『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』で知られる。
ミレク・ネベル(Ed Birch)役 エド・ビルク(Ed Birch)『The Hurricane Heist 』(2018)、『Their Finest』 (2016) 、『Utopia 』(2013)に出演
ロン・ハンツマン (Ron Huntsman)役 ベン・アディス(Ben Addis ) 『The Mysterious Mr Webster 』(2014) 、『ドクター・フー 』(2005)に出演
Photos:IMDb
『アイヒマン・ショー』クリエイター
脚本 サイモン・ブロック(Simon Block)
製作 ローレンス・ボーウェン(Laurence Bowen)、ケン・マーシャル(Ken Marshall)
製作総指揮 フィリップ・クラーク(Philip Clarke)、クリスティ・ベル(Kirsty Bell)、ジェイミー・カーマイケル(Kirsty Bell)、マーティン・デヴィッドソン(Martin Davidson)、グレッグ・フィリップス(Greg Phillips)、バフナ・タルワー(Bhavna Talwar)
音楽 ローラ・ロッシ(Laura Rossi)
撮影 カルロス・カタラン(Carlos Catalan)
編集 ジェームス・テイラー(James Taylor)
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