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ナチス関連の映画で、おすすめはありますか。
今回ご紹介するのは史実に基づいた『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』です。
ナチスのナンバー3まで上り詰めたハイドリヒは、ナチ党内の粛清やユダヤ人虐殺の陣頭指揮を執った人物で、「金髪の野獣」とあだ名されて、ナチス内外から怖れられていました。
チェコの副総統に就任したハイドリヒを、在英チェコスロバキア亡命政府は英国とともに暗殺作戦を計画。
2人の兵士をチェコに送り込みます。
暗殺は成功するのか、暗殺によって世界は変わったのかー。
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『ハイドリヒを撃て!』あらすじ ※以下ネタバレを含みますが史実なのでネタバレ注意とは表記しません
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ナチスでヒトラー、ヒムラーに次ぐのナンバー3のハイドリヒ暗殺を描いた映画。
1941年12月、ナチス統治下のチェコ(正確には、ドイツ第三帝国ベーメン・メーレン保護領)の統治を命じられ、プラハに拠点を置きます。保護領)に、イギリス政府とロンドンのチェコスロバキア亡命政府の指令を受けた2人の軍人ヤン・クビシュとヨゼフ・ガブチークがパラシュートで降り立つ。
ヤンはチェコ人ヨゼフはスロバキア人だった。
彼らの目的はナチス親衛隊幹部で保護領の副総督になったハイドリヒの暗殺で、
作戦のコードネームはこの映画の原題ともなった「エンスラポイド/アンソロポイド(ANTHROPOID)」。
「アンソロポイド」は、日本語では「類人猿作戦」と訳される。
パラシュートでの降下後、2人は積雪の中歩き、やっとたどり着いた接触相手に裏切られ、トラックを盗んでプラハに向かう。
降下時に負傷したヨゼフはプラハの獣医から治療を受け、レジスタンスのヤン・ゼレンカ=ハイスキー に会う。
2人はハイドリヒを暗殺するエンスラポイド作戦の実行指令を受ける。
彼らは2人の女性レンカ・ファフコヴァーと、マリー・コヴァルニコヴァーをはじめとする人々の助けを得て、ハイドリヒが車で出勤するところを待ち伏せて襲撃する計画を練る。
レジスタンスの中には「奴を殺せばヒトラーはこの街を潰す。家族や友人は皆殺しにされるぞ」と反対す者もいたが、
ヨゼフは「愛国者なら国のために命を落とす覚悟が必要だ」と反論する。
ハイドリヒが翌々日、パリに転任することが分かり、1942年5月27日を実行日と決定する。
襲撃の瞬間、ヨゼフのステン短機関銃が故障するが、ヤンが後方から投げた手榴弾でハイドリヒは重傷を負う。
即死ではないもののハイドリヒはやがて命尽き、ナチスの報復が始まる。
レンカは逃げるところを殺され、カレル・チュルダは仲間を裏切り、パラシュート部隊や協力者の情報をナチスに密告する。
ヤンやヨゼフは仲間たちとともに聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂に隠れる。
ナチスは報復として、リディツェ村の16才以上の男性を皆殺しにし、女性と子供たちは収容所に送る。
ハイドリヒ暗殺は、連合国側が成功させた唯一のナチス幹部暗殺だが、ナチスの報復で5,000人のチェコスロバキア市民が殺されてしまった。
2人をかくまった家族はゲシュタポに襲われ、母は青酸カリで自殺。
息子は拷問に耐えかねてハイドリヒ暗殺グループが隠れる場所を教えてしまう。
ナチスは即、その教会に部隊を送り込む。
教会では激しい銃撃戦が行われ、地下納骨堂に逃れた数人をナチスは水攻めに、追い詰められた兵士たちは自害する。
『ハイドリヒを撃て!』解説
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フリッツ・ラング監督の『死刑執行人もまた死す』、ルイス・ギルバート監督の『暁の7人』としてこの暗殺は、映画化されたことがある。
今回は当事国のチェコが制作に関わっているため、よりリアルに当時のプラハの街やそこに暮らす人々の様子を再現するだけでなく、史実を忠実に描こうとしたようだ。
ロケも実際にチェコのプラハで行われ、クライマックスの舞台となる教会は、内部こそスタジオのセット撮影だが、外観は実際に事件の現場となった聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂だ。
ハイドリヒ暗殺という彼らの行為は、国を愛するがゆえのものだったが、その後のナチスの報復によって5,000人以上ものチェコ人が殺されたことを考えると、複雑な心境に追いやられる。
1941年9月、ハイドリヒはヒトラーからチェコ(保護領)の副総統を命じられ、プラハに移る。
ヤンとヨゼフがパラシュート降下した同年12月頃には、ハイドリヒが行った徹底した弾圧により、すでに地下に潜ったレジスタンス組織は壊滅寸前だった。
密告者には報奨金が払われる一方、ナチスに逆らう者は容赦なく処刑された。
市民は「レジスタンスと関わったら殺される」という恐怖感を持つようになっていた。
しかし、在英チェコ亡命政府はその実態を知らず、「現地で抵抗運動が起きていることを世界に示す」という目的のため、犠牲を顧みない指令を出した。
一見、強硬派のヤンとヨゼフも、作戦の決行に躊躇がないわけではない。
2人はプラハで出会った女性に恋をして「生」への執着も生じていた。
しかし、彼らにとって国をナチスから取り戻したいという愛国心は強く、また兵士である以上、政府からの命令は絶対であり、作戦は決行される。
ハイドリヒ暗殺は遂行されたものの、彼らを匿(かくま)った者や、関わった疑いを持たれた者に対するナチスの報復は凄惨を極めた。
抵抗運動が起きていることを世界に示し、衰退気味の抵抗運動(レジスタンス)を活性化するという英国とチェコ亡命政府の大義から決行されたハイドリヒ暗殺は、ナチスの報復によって多くの犠牲者を生み出した。
もちろん悪いのはナチスなのだが、犠牲になった数千人の市民の命を思うと痛たまれない。
それゆえこの映画は彼らを単にヒーローに祭り上げたりはしない。
『ハイドリヒを撃て!』感想
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史実に忠実であろうとする余り、映画としては面白みに欠ける結果になったように思う。
筆者個人としては、『ナチス第三の男』のほうが面白く観られた。
『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』は『ナチス第三の男』を観たことで興味が湧いて、付随的に観たという感じ。
両者は、ヤンとヨゼフがパラシュートでチェコに降り立ってハイドリヒを暗殺するまでの過程に結構な違いが見られて、その違いを見比べる面白さがある。
『ハイドリヒを撃て!』が史実に基づいて作られているのに対し、『ナチス第三の男』はハイドリヒの人物像を描くことに主眼をおいているため暗殺までの過程はかなり省略ないしは脚色されている。
ハイドリヒがどう殺害され、それがどういう結果をもたらしたのかを知るには『ハイドリヒを撃て!』を観るべきだろう。
筆者としては私がそうしたように『ハイドリヒを撃て!』と『ナチス第三の男』両方の観賞をおすすめする。
『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』予告篇(YouTube)
\本篇を観るなら/
『ハイドリヒを撃て!』データ
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題名 『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』(原題:Anthropoid)
公開年 2016年
製作国 チェコ、イギリス、フランス
上映時間 120分
製作費 $9,000,000
賞
2017年度のチェコ・アカデミー賞 “Czech Lions” において作品賞、監督賞を含む14部門に渡りノミネートされたが、受賞に至ったのは観客賞(ショーン・エリス監督)のみだった。
チェコでの評判はイマイチだったようだ。
『ハイドリヒを撃て!』キャスト
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Photos:IMDb
『ハイドリヒを撃て!』クリエイター
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監督 ショーン・エリス(Sean Ellis) 監督作『フローズン・タイム』『ブロークン』。『ハイドリヒを撃て!』は5年越しの企画だった。
脚本 ショーン・エリス(Sean Ellis)、アンソニー・フルーウィン(Anthony Frewin)
製作 ショーン・エリス(Sean Ellis)、ミッキー・リデル(Mickey Liddell)、ピート・シレイモン(Pete Shilaimon)
製作総指揮 アニタ・オーヴァーランド(Anita Overland)、レオナール・グロウィンスキ(Léonard Glowinski)、クリシュトフ・ムハ(Krystof Mucha)、ダヴィット・オンドリーチェク(David Ondrícek)、ジェニファー・モンロー(Jennifer Monroe)、クリス・カーリング(Chris Curling)
音楽 ロビン・フォスター(Robin Foster)
撮影 ショーン・エリス(Sean Ellis)
編集 リチャード・メトラー(Richard Mettler)
\『ハイドリヒを撃て!』を観るなら/
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