ナチス関連の映画が観たいのですが、おすすめはありますか。
いくつかありますが、おすすめの1本は『ヒトラーに屈しなかった国王』です。
ナチスヒトラーの脅しに簡単には屈せず立憲君主国ノルウェーの民主主義を守ろうとした国王の話です。
ノルウェーで2016年9月に公開されるや、並み居る人気作品を抑え映画ランキングで3週連続1位を獲得。
ノルウェー国民の実に7人に1人が鑑賞した社会現象とも言える大ヒットを記録した映画です。
第89回米アカデミー賞の外国語映画賞ノルウェー代表作品にもなりました。
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『ヒトラーに屈しなかった国王』あらすじ
ノルウェーの湾内に侵入して領土の1.2キロまで近づいた国籍不明の軍艦、実はドイツのブリュッヒャー重巡洋艦をノルウェー軍が砲撃し撃沈したのは1940年4月9日。
ビルゲル・エリクセン大佐の英断だった。
しかしナチス・ドイツ軍は続いてノルウェーの首都オスロに侵攻。
ドイツ軍の攻撃に応戦抵抗するノルウェー軍だったが、圧倒的な軍事力の差によって、主要な都市は相次いで占領されてゆく。
降伏を求めるドイツ軍に対しノルウェー政府はそれを拒否し、ノルウェー国王ホーコン7世は、政府閣僚とともにオスロを離れ、北方の村に逃げる。
一方、ヒトラーの命を受けたドイツ公使クルト・ブロイアーは、ノルウェー政府に国王との謁見の場を設けるように、最後通告をつきつける。
翌日、ドイツ公使と対峙した国王は、ナチス・ドイツの要求に従うか、抵抗を続けるか、国の運命を左右する究極の選択を迫られるー。
が、国王の頭にいつもあるのは「すべては祖国のために」だった。
北欧の小国ながらナチス・ドイツに最も抵抗し続けたノルウェーにとって、歴史に残る重大な決断を下した国王ホーコン7世の運命の3日間ー。
ノルウェー王国とは
ノルウェー王国(ノルウェーおうこく、ノルウェー語: Kongeriket Norge/Noreg)、通称ノルウェーは、北ヨーロッパのスカンディナビア半島西岸に位置する立憲君主制国家。首都は半島南端部に存在するオスロ・フィヨルドの奥に形成された港湾都市のオスロ。東にスウェーデン、ロシア、フィンランドと国境を接している。
国土は南北に細長く、海岸線は北大西洋の複数の海域、すなわちスカゲラック海峡、北海、ノルウェー海およびバレンツ海に面している。海岸線には、多くのフィヨルドが発達する。このほか、ノルウェー本土から約1,000キロ離れた北大西洋上のヤンマイエン島は固有の領土の一部として領有され、スヴァールバル条約によりバレンツ海のスヴァールバル諸島を領有している。南大西洋にブーベ島を属領として持つ。
ノルディックモデル(英語版)による高負担高福祉の福祉国家として知られ[5]、OECDの人生満足度(Life Satisfaction)ではスイスに次いで第2位となった(2014年)。
引用元 Wikipedia
ノルウェー国王ホーコン7世とは?
1905年6月、ノルウェーはスェーデンから独立し、国民投票により立憲君主制に移行。デンマークのカール王子が国王に迎えられた。
1905年11月、カールと妻マウド(王妃)は、幼いオラフ(皇太子)とともにノルウェーに移り、カールはホーコン7世として戴冠した。
『ヒトラーに屈しなかった国王』の詳細ストーリー
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※ネタバレを含みます。
ドイツの要求をノルウェー政府は拒否しドイツはノルウェーに侵攻
オスロ南方27キロにあるオスカーボルグ要塞の大佐に、外海の要塞が国籍不明の軍艦と交戦したことが伝えられる。
ノルウェーは風雲急を告げていた。
駐ノルウェー・ドイツ公使邸では武官(ドイツ軍中佐)が公使にこう告げる。
「このペンを渡すだけでいい。協力を約束する書類へ署名させろ」
「彼らから見れば侵攻だ」
「そうではないと説き伏せろ」
「中立国には干渉できない」
「総統はこの国を重視しておられる。沿岸に基地を設置でき、鉄鉱石も確保できる。占領で得られる恩恵はかなり大きい」
4月9日午前4時20分、ドイツ公使は外務省にコート外務大臣を訪ね、総統の要請をノルウェー政府に伝え、協力を求める。
「イギリスの侵略から守ります。無用な抵抗はやめてドイツに協力してください。今すぐ外務大臣と公使の私の間で合意すべきです」
閣僚らと協議を終えた外務大臣が公使の元に戻って結論を伝える。
「ノルウェーは主権国家です。貴国の要求はそれを覆すものだ。従って答えはノーです」
「よろしいんですか」
「ヒトラー総統の言葉です。『他国の侵略に屈する国家は存在する価値がない』。我々も屈する気はありません」
眠っていた国王に首相から緊急の電話が入る。
「侵攻です。今のうちにオスロから退避しましょう」
国王は北部に避難しナチスの傀儡政権が声明を発表
王は北部のハーマルのセーリッド農場へ避難した。
その途中の王らが乗った列車が空襲を受けるほどの状況だ。
ハーマルで開かれた議会で首相は辞任と内閣の総辞職を告げる。
「ノルウェーの国王として内閣総辞職の申し出は認めるのが常である。しかし今回は例外だ。ハンブロ議長は内閣総辞職を認めないと決断し、私もそれを支持した。党派も派閥も今は関係ない。率直に話し合おう。君たちは国民に選ばれた。どんな状況下でも国を率いる責務がある。今こそ国民は政府を必要としているのだ」
そこで議長が演壇に登り、
「ドイツ公使が新たな申し出をして来た。内容はほぼ同じだ。主要都市はドイツ軍に占領された。国の未来は暗いと思うかもしれないが、私の考えは違う。たとえ厳しい状況下でも、交渉を続けるべきだ」
「昨夜から何が変わったというんだ? 交渉材料は?」と皇太子。
外務大臣が立って言う。
「殿下、議長殿、状況は一変しました。国は侵攻され、多くの都市が占領された。ですが自由はある。我々は主権国家です。この武力行為を止めるために、政府は交渉を望みます。デンマークのように和解の道があるならそれを模索すべきです。命を救うために」
国王は議場を去る前に議員たちに言う。
「政府が交渉を望むなら私はそれを支持する」
皇太子は、首相の辞任を認めてハンブロ議長に任せれば良かったと国王に言うが国王は、
「今は一丸となって内閣に協力すべきだ。我々が何を望むかではない」
「では何をしろと?」
「次期国王にふさわしい行動をしろ」
「軍を動員しろと何度も提言したのに。戦争は予期できてた。臆病にならないで」
「無礼を言うな。すべて思いどおりになると思うな。軽率な行動は許されない」
4月9日午後7時30分、ハーマルのせーリッド農場で家族と一緒にいた王は、ラジオから流れる新首相の声明を聞く。
「イギリスはノルウェー領海への機雷施設により我が国の中立を侵した。その侵略行為を甘んじて受けた軟弱な旧政権に対し、ドイツは我が国の保護と協力を申し出た。彼らは我が国を尊重し、主権と財産を守ると約束した。
しかし、旧政権はその寛大な申し出を拒否し、軍を動員するという決断を下した。救助を願い出たドイツに抵抗するなど愚の骨頂と言える。旧政権は既に逃亡し、軽率な行動によって国民を危険に晒している。
よって我々国民連合党が新たな政権を担い、国民の命と我が国の主権を守ることをここに宣言する」
「ノルウェー軍の兵士たちに告ぐ。今後君たちの職務や任務は我々新政権の指示の下にのみ与えられる。もし反抗すれば強硬手段を取ることも辞さない。我々の方針に従えばすべての市民は適切に扱われる。政権は我々が引き継いだ。首相を務めるのは私、ビドクン・クヴィスリング、法相は…」
要するにクヴィスリングがクーデターを起こしたのだ。
「相手に銃を突きつけて脅す人を外交官とは呼べないわ」とドイツ公使の妻
ブロイアー公使にドイツのリッベントロップ外相から電話が入る。
「交渉はどうなってる?」
「閣僚たちが折れるのも時間の問題かと思われます」
「素晴らしい」
「ですが、クヴィスリングを首相とは認めないでしょう」
「彼に何か問題でも?」
「ノルウェー国民と国王からは支持されていません」
「そのまま待ってろ」
と待たされた公使は「誰だ?」という声に起立して「ハイル・ヒトラー!。ドイツ公使ブロイアーであります」と緊張の面持ちで答える。
「我々は現況に満足している。ノルウェー侵攻作戦は成功した」
「はい。唯一の懸念はクヴィスリング氏の…」
「彼は有能な男だ。首相にふさわしい」
「おっしゃるとおりですが問題は閣僚たちでして。クヴィスリングを擁立すれば彼らとの交渉が難しく…」
「助けてやろうとした我々に彼らは攻撃して来た政府と交渉する必要などない。そう思わないか」
「ええ総統、しかし閣僚らが」
「閣僚は忘れろ。王と直接話すんだ。2人で話したいと言えば置かれている状況が分かるだろう」とヒトラー。
「しかし既に戦争の準備を…」
「これは相当からの直々の命令だ。閣僚は無視して王と話せ。君の働きに期待してるぞ」
「光栄です。ハイルヒトラー」
このやりとりを聞いていた公使の妻は、平和のために努力しているという公使の言葉に怒りをぶつける。
「平和のためですって?ヒトラーのためでしょ?軍人と同じよ。相手に銃を突きつけて脅す人を外交官とは呼べないわ」
公使は思わず妻をひっぱたいてしまう。
「すべては祖国のために」
王らは4月9日夜、オスロから北方140キロにあるエルヴェルムのゴルデル農場に避難していた。
ドイツ軍も国王を捕まえようと北上する。
ドイツ軍と交戦を覚悟の上で検問所の軍は、国王を守ろうとする。
農場に来る途中の検問所で王が会ったセーベル二等兵に王は「君たちの働きには本当に感謝している」と言い、二等兵は答える。
「すべては国王のために」
ところが国王から発せられた言葉はそれを否定するものだった。
「いや違う。祖国のためだ」
検問所にいた二等兵のことを皇太子が王に言う。
「彼はまだ子どもだ。彼らが国のために戦っているのに、我々は敬礼を受けるだけなんて許されない。同じ犠牲を払うべきだ」
皇太子妃は皇太子が突然、戦場に行くと言い出して驚く。
宮内大臣は、皇太子とトーラル王子が一緒にいるのは危険だからスウェーデンに逃すべきだと進言するが、王は反対だ。
家族はバラバラなるべきではないとの考えだ。
しかし皇太子妃は言う。
「一理あるわ。ハーラルは大事よ。子どもたちが逃げれば皇太子も安心でしょう。お2人は国に残って。私たちはスウェーデンへ行く」
セーベル二等兵は戦いで負傷しドイツ兵から聞かれる。
「どこへ退避した? 戦車や機関銃を隠しているのか? 国王はどこだ? 閣僚たちは?」
他のドイツ兵が言う。
「弾薬は少ないし、多くの兵も失った。補給が必要なのにここには何もない」
そこで機転をきかせたせーベル二等兵が言う。
「大部隊が、200人がいる。それと機関銃部隊も」
これを聞いたドイツの部隊は一旦、退却する。
「行くしかない。これは王の務めだ」
「家族を手放すなんて」と皇太子が言うと、
「手放しちゃいない」と国王。
「いや、経験がある。手放された側だけど」
「母さんはお前を大切に思っていたさ」
「母さんを庇わなくて良いよ。良い母親じゃなかった。しょっちゅう英国に帰っていたし、家を空けてた。側にいてくれたのは父さんだ。僕も子どもたちの側にいてやれない」
「1905年のあの日、私たちは船に乗ってこの国に来た。突然、王子や皇太子になった我々を大勢の人々が笑顔で迎えてくれた。お前は幼く怖がって怒っていた。私の選択でずっとお前を苦しめてきた。お前が選んだ道じゃないのに申し訳ない。もし継ぎたくないなら…」
「いや違うよ。なりたくないのは父さんみたいな王だ」
王たちはオスロから北方204キロのトリシルのニーベリスンに移った。
皇太子は罠かもしれず危険だと言うが、王は「行くしかない。これは王の務めだ」と語り、これ以上犠牲者を増やさないために公使と会うことにする。
自分も同行するという皇太子に王は言う。
「それは許されん。分かっているだろ?」
王との2人のみの交渉を望むドイツ公使
ドイツのブロイアー公使は、ドイツ軍の侵攻中止を条件にエルヴェルムにおける王との謁見(えっけん)をセッティングするが、武官(ドイツ軍中佐ポールマン)は侵攻を中止する気はなく対立する。
「国王と話して何になる? 新政権を受け入れると思うか。国王を捕らえよう」
「兵は近づけるな。私のやり方でやる」
「対話など無意味だ。軍もエルヴェルムに向かっている。上空に気をつけるんだな。攻撃を受けても知らんぞ」
「”すべては祖国のために“だぞ」と言い残して王は、エルヴェルムの会見場所である国民高等学校へ向かった。
ドイツ公使は途中から目隠しをされてその会見場に連れて来られた。
ブロイアー公使をコート外相が入り口で出迎える。
「ヒトラー総統から命を受けて陛下との交渉に参りました」
ヒトラーから2人きりで交渉をするようにと命を受けたブロイアー公使はその旨を伝える。
が、外相は自分たちが参加しないわけにはいかないと拒否するが、ブロイアー公使は「では交渉は中止です」ときっぱり。
降伏を要求するドイツ公使に「君はヒトラーと同類だ」
王が折れて他の者は席を外し、ドイツ公使が言う。
「私はノルウェーを敬愛し、立憲君主制に敬意を抱いています。が今や貴国は機能していません。クヴィスリングが政権を掌握し、総統もそれを支持しています。ドイツと協定を結べば貴国は助かる。
総統はクヴィスリングを気に入っており、彼の政権を支持することを条件にしているが、公使はクヴィスリングを軽蔑しており、今王が署名すればクヴィスリングを失脚させられると公使はいう。
「私にも大きな賭けですが、総統も陛下とも合意を優先すると確信しています」
「その条件をのむか今すぐ決断しろと?」
「はい。今ここで合意していただければノルウェーは救われ、陛下は国民の英雄となる」
「君は分かっていないようだ。私はノルウェー史上唯一の国民から選ばれた王だ。この国は民主主義国家であって最も尊重すべきは国民の意見だ。今ここで私が決断すれば民主主義はなくなる。この国の行末は密談によって決まるのではない。国民の総意で決まるのだ」
「陛下のお考えは素晴らしいと思います。しかし、拒否すれば大勢の命が失われます。無益な戦争で若者たちが死ぬのです。よくお考えください。国を救うのです。デンマークのお兄様の様に」
ここで王は激怒する。
「兄のことを言われる筋合いはない! 私の家族だぞ。自分を何様だと?」
「ただの使者です。ですが平和的に解決できると信じています」
「平和のハトというわけか。侵略者の使い走りの交渉人だろう。平和を願っているのに降伏を要求するのか?」
「陛下!」
「君はヒトラーと同類だ」
今を逃したら提案書に署名できないと迫る大使に王は外相を呼び戻すと言い、大使は政府が相手では条件がより厳しくなると脅す。
だが、王は外相を呼び戻す。
公使は外相らとは交渉しないと言う。それは総統の指示であり、総統の指示は絶対だと。
内閣はドイツの要求を拒否しドイツとの戦争が始まった
公使との交渉が決裂して王は外相らに語る。
「難しい決断を迫られた。もしドイツの要求を拒めば私のせいで我が国に不幸が襲い掛かる。その判断の責任は余りに大きく恐ろしいほどの重圧がのしかかるだろう。最後の決断をするのは政府だが、私の立場は明確だ。ドイツの要求には従えない。彼らに屈することは私が35年間貫いて来た国王としての道義に反する。
国王の考え方を政府に強要しているのではない。私は国王としてクヴィスリングを首相に任命できない。なぜなら国民の信を得てないからだ。
政府がドイツの要求を受け入れたとしてもその理由は十分理解できる。ただその時は私に残された道は一つしかない。国王を退き、王室を解体する」
ドイツの提案を拒否すると即ドイツは報復として王や閣僚の居住地トリシルや、エルヴェルム、ニースベリスンを空襲した。
こうして4月11日、ドイツとノルウェーの戦争が始まった。
『ヒトラーに屈しなかった国王』予告編(YouTube)
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『ヒトラーに屈しなかった国王』解説と感想
北欧の小国ノルウェーは、立憲君主制と民主主義に拠(よ)って立ち、中立国を宣言することで平和が保たれるはずだった。
ところがナチスドイツにとっては中立国など何の意味もなさなかった。
沿岸に基地を設置でき、鉄鉱石も確保できるノルウェーはナチスにとって是が非でも手に入れたい国だったのだ。
ルールを無視するナチスドイツの軍隊が突然ノルウェーを侵攻したことで、民主主義のノルウェー政府は、対策が常に後手に回ってしまう。
国王は立憲君主制と民主主義に則って行動するので、政治に口を挟むことはできない。
若い皇太子は、そんな国王の態度に苛立(いらだ)ちを見せる。
皇太子は、ドイツの動きは以前からあったのになぜ早くに軍を動かさなかったのかと政府、特に首相に不満だ。
中立国だから攻めて来ないという油断もあったのだろうが、確かに内閣は不甲斐ない。
特に首相などは、王一家と閣僚らが北方に避難した時、臨時の国会で辞意と内閣総辞職を申し出る。
国家の危機に際し、政権を投げ出すとは何とも空いた口が塞がらない。
と思ったら、さすがに国王も我慢できず異例の発言を行う。
「ノルウェーの国王として内閣総辞職の申し出は認めるのが常である。しかし今回は例外だ。ハンブロ議長は内閣総辞職を認めないと決断し、私もそれを支持した。党派も派閥も今は関係ない。率直に話し合おう。君たちは国民に選ばれた。どんな状況下でも国を率いる責務がある。今こそ国民は政府を必要としているのだ」
皇太子は、首相の辞任を認め、議長に政権を任せれば良かったのにと父である国王に言うが、父王はそれは民主主義ではないと考える。
国王はいかなる時も、常に「すべては祖国のために」立憲君主制と民主主義を念頭に置いているのだ。
ノルウェー政府はナチスドイツの要求(降伏)を呑まず、戦争に突入する。
国王と皇太子はイギリスに亡命し、支援を続けるが、ノルウェーは結局ドイツに降伏する。
王の兄が王位に就いていたデンマークは早くにドイツの要求を呑んだ。
ノルウェーもそうすべきだったという考えもある。
ノルウェー国王もそれを否定してはいない。
ドイツはたびたび「我々の要求を受け入れれば多くの命が救われる」と脅して来る。
多くの国民の命が失われるかと思うと耐えられない。
しかし、ナチスの要求を受け入れるか、拒絶して戦争に突入するかの選択は、国民が選んだ政府によってなされなくてはならない。
それが民主主義なのだ。
ナチスが擁立したクヴィスリング新政権を国王が嫌ったのも、それが国民の信任を得てないからだった。
現在のノルウェーで当時の国王ホーコン7世が、民主主義の象徴になっているのはこうした理由からだ。
同じく立憲君主制で民主主義の主権国家である日本に暮らす国民も、この映画で考えさせられることは多いと思う。
民主主義国家は、ナチスのような独裁国家の侵略に対し、非常に脆(もろ)い。
それでも民主主義を貫く覚悟が我々日本人にはあるだろうか。
『ヒトラーに屈しなかった国王』登場人物のその後
ドイツ公使 東部戦線に送られソ連の8年間捕虜に。1969年死去。
ビルゲル・エリクセン(ノルウェー軍大佐) ノルウェー最高位軍事勲章が授与された。1958年死去。
ノルウェー軍セーベル二等兵 フィンランドでの継続戦争に参加。現在はドラメンで暮らす。
皇太子妃と王子たち 終戦までアメリカに。
国王と皇太子 1940年6月7日英国に亡命。3日後ノルウェーはドイツに降伏。王はドイツへの抵抗をロンドンから支援した。国王の決断は主権国家ノルウェーの民主主義の象徴となっている。
1945年5月8日ドイツ降伏。国王と帰国するためハーラル王子ら王室一家がロンドンに。
1957年ホーコン7世は、85歳で逝去。息子のオラフ5世が王位に就き、1991年まで在位。
孫のハーラル5世は、父と祖父の信念「すべては祖国のために」を継いでいるという。
『ヒトラーに屈しなかった国王』映画データ
題名 『ヒトラーに屈しなかった国王』(原題:Kongens nei 英題 The King’s Choice)
公開 2016年9月23日
上映時間 133分
国 ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイルランド合作
配給:アットエンタテインメント
賞 ノルウェーで2016年9月に公開されるや、並み居る人気作品を抑え映画ランキングで3週連続1位を獲得。国民の7人に1人が鑑賞したという、社会現象とも言える大ヒットを記録。第89回米アカデミー賞の外国語映画賞ノルウェー代表作品になった。
『ヒトラーに屈しなかった国王』キャスト
ノルウェー国王(ホーコン7世、H.M. Kong Haakon VII): イェスパー・クリステンセン(Jesper Christensen) 「007 カジノ・ロワイヤル」「007 慰めの報酬」「007 スペクター」で悪役ミスター・ホワイト役で知られる俳優。
皇太子オラフ(国王の息子。王太子、H.K.H. Kronprins Olav): アンドレス・バースモ・クリスティアンセン(Anders Baasmo Christiansen)「コン・ティキ」。プロヂューサーとしても参加
駐ノルウェー・ドイツ公使(クルト・ブロイアー、Curt Bräuer): カール・マルコヴィックス(Karl Markovics) 「ヒトラーの贋札」
ドイツ公使夫人(アンネリーゼ・ブロイアー、Anna Elisabeth (‘Anneliese’) Bräuer): カタリーナ・シュットラー(Katharina Schüttler)
皇太子妃(マッタ、スウェーデンの王族出身、H.K.H. Kronprinsesse Märtha): トゥヴァ・ノヴォトニー(Tuva Novotny)
ドイツ公使館秘書(ダイアナ・ミュラー、Frl. Diana Müller): ユリアーネ・ケーラー(Juliane Köhler)
セーベル二等兵(ドイツ語が話せる、Menig Fredrik Seeberg): アルトゥル・ハカラフティ(Arthur Hakalahti)
ノルウェー宮内長官(ペーデル・ヴェーデル・ヤールスバーグ、Peder Anker Wedel Jarlsberg): スヴェイン・ティンドベルグ(Svein Tindberg)
ノルウェー外務大臣(ハルヴダン・コート、Utenriksminister Halvdan Koht): ケティル・ホーグ(Ketil Høegh)
ノルウェー首相(ヨハン・ニュゴールスボル、Statsminister Johan Nygaardsvold): ゲラルド・ペッテルセン(Gerald Pettersen)
ノルウェー国会議長(C・J・ハンブロ、Stortingspresident Carl Joachim Hambro): ヤン・フロスタッド(Jan Frostad)
ノルウェー軍大佐(ビルゲル・エリクセン、Oberst Birger Eriksen): エリック・ヒヴュ(Erik Hivju)
セーベル二等兵の上官(ブリニャル・ハンメル、Sersjant Brynjar Hammer): ロルフ・クリスチャン・ラーセン(Rolf Kristian Larsen)
ドイツ軍中佐(ハートヴィッヒ・ポールマン、Oberstleutnant Hartwig Pohlman): アンドレアス・ルスト(Andreas Lust)
『ヒトラーに屈しなかった国王』クリエイター
監督 エリック・ポッペ(Erik Poppe) 他の作品『おやすみなさいを言いたくて』
エグゼクティブ・プロデューサー ヘンリク・ツェイン(Henrik Zein)、ペーター・ガルデ (Peter Garde)、イェスパー・クリステンセン(Jesper Christensen)
プロデューサー スタイン・B・クワエ(Stein B. Kvae)、フィン・イェンドルム(Finn Gjerdrum)、スタイン・B・クワエ(Stein B. Kvae)
原案 アルフ・R・ヤコブセン(Alf R. Jacobsen)
脚本 ハーラル・ローセンローブ=エーグ (Harald Rosenløw-Eeg)、ヤン・トリグベ・レイネランド(Jan Trygve Røyneland)、エリック・ポッペ (Erik Poppe)
撮影 ジョン・クリスティアン・ローゼンルンド(John Christian Rosenlund)
美術 ピーター・バウマン(Peter Bävman)
衣装 カレン・ファブリティウス・グラム(Karen Fabritius Gram)
編集 アイナル・エゲランド(Einar Egeland)
音楽 ヨハン・セーデルクビスト(Johan Söderqvist)
写真©2016 Paradox/Nordisk Film Production/Film Väst/Zentropa Sweden/Copenhagen Film Fund/Newgrange Pictures
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