↑『ポロス』でダナナンダ王を演じたラージ・ジャイン。Facebookより
インドドラマ『ポロス』において、個人的には、アレクサンドロスの描写は多すぎるとずっと感じています。
何分の1かの最低限の量で良かったのではないかと思います。
アレクサンドロスの場面が多くなるにつれこのドラマは散漫になり、魅力が減ってしまいます。
ところが、サウラブ・ラージ・ジャイン(Sourabh Raaj Jain)が演じるマガダ国のダナナンダ王がシーズン5の24話から登場して、また面白さが戻って来ました。
人をくった感じのユニークなマガダ国ナンダ朝のダナナンダ王ですが、知っておくとよりドラマが楽しめる歴史的な背景を説明しようと思います。
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インドの身分制度カーストでダナナンダ王はシュードラの出自?
↑手を握りあうポロスとダナナンダ。ラージ・ジャインファンクラブのTwitterより
ドラマで何度もマガダの王ダナナンダは、自分が理髪師の子であることで周囲のクシャトリヤからバカにされて来たと、クシャトリヤへの恨み辛みを語ります。
クシャトリヤとは、インド古来からの身分制度カーストの中で上から2番目のカーストである「王族」を指します。
一般に知られているカーストとは、ポルトガル語や英語により表記で、インドではヴァルナ(4種姓)と呼ばれ、大きく分けると上からバラモン(司祭)、クシャトリヤ(王族・士族)、ヴァイシャ(製造業などに就く市民)、シュードラ(労働者、スードラとも表記)という4階級に分かれています。
ヴァルナの呼称 | 日本語訳 |
---|---|
ブラフマン | 司祭・僧侶 |
クシャトリヤ | 王族・士族 |
ヴァイシャ | 市民(製造業など) |
シュードラ(スードラ) | 労働者 |
ヴァルナはさらにジャーティ(出自)と呼ばれる共同体に細分化されています。
ヴァルナとジャーティの下には、さらにアヴァルナという賎民が存在しました。
アは否定形なので、ヴァルナに属さないという意味です。
英語ではアウトカーストと呼ばれます。
いわゆる不可触賎民で、かのガンディーは彼らをハリジャン(神の子)と呼び、平等化を推進しました。
ダナナンダ王は、ドラマの中で理髪師の子と称しています。
これはつまり、自分はシュードラの出自だと語っているわけです。
先述したようにシュードラとはヴァルナの最下位の階級です。
史実的にも確かに、マガダ国ナンダ朝初代の王は、理髪師の子とされています。
彼は、マハーパドマあるいはウグラセーナという名で呼ばれていますが、それまで栄えていたシシュナーガ朝を滅ぼし、新たにナンダ朝を開きます。
ナンダ朝の実在は種々の史料から確かめられており、インドの史料にはマハーパドマは、シシュナーガ朝の最後の王マハーナンディンとシュードラの女との間に生まれた子であるというものと、理髪師と娼婦の子であるというものがあります。
ギリシャ人の記録では、理髪師と王妃の間に生まれた子だとされています。
いずれにせよ、階級が低かったことは確かで、周囲のクシャトリヤからは正統な王と認められなかったのでしょう。
文献には、マハーパドマは「全てのクシャトリアを絶滅させ、唯一の王として統一した」と記されています。
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チャーナキヤがダナナンンダのナンダ朝を滅ぼす
ただ、パウラヴァ国の先代王バムニ、そして現王ポロスがマガダの王と対面したかどうかは分かりません。
が、チャーナキヤは面会したようです。
この時、チャーナキヤがマガダ国の家臣から侮辱されたことがきっかけとなって後にチャーナキヤはチャンドラグプタを擁立し、ナンダ朝を滅ぼすことになります。
ドラマの中では、ダナナンダ王やブラフマンの宰相から侮辱されるシーンがあります。
チャーナキヤが侮辱されて恨んだというよりも、ダナナンダが治めるナンダ朝に疑問を抱いたのだと筆者は思います。
ダナナンダのダナは富、ナンダは幸福や悦びを表す語です。
ダナナンダは、ナンダ朝初代王マハーパドマの8人の息子の1人で、末子でした。
つまり、ドラマにおいてバムニとポロスが面会したマガダの王は、ダナナンダ王であったということになります。
ドラマ中でもマガダ国王が自らをダナナンダと名乗っています
であるなら、彼は理髪師の子ではありません。
父王が理髪師の子であってもダナナンダ自身は違います。
ですから正確には理髪師の子ではなく、理髪師の血を引くとかシュードラの出自とか言うべきところですが、分かりやすく理髪師の子としているのでしょう。
チャーナキヤがダナナンンダのナンダ朝を滅ぼす
後に、チャーナキヤは、チャンドラグプタをバックアップし、ナンダ朝を滅ぼします。
チャンドラグプタによって開かれた王朝がマウリヤ朝で、このマウリヤ朝のマガダ国が仏典に出て来るマガダ国です。
チャンドラグプタの子孫である第3代アショーカ王の時、マウリヤ朝はインド亜大陸をほぼ統一し、全盛期を迎えますが、このアショーカ王が仏教を庇護したため、仏教を少しでも学んだことのある人ならマガダの名を知っているわけです。
仏典ではアショーカ王は、阿育王と記されています。
アショーカ王(阿育王)は、チャンドラグプタの息子ビンビサーラ(頻婆娑羅)の子です。
つまりマウリヤ朝初代王チャンドラグプタの孫ということになります。
しかし、最初に仏教を庇護したのはチャンドラグプタの父、2代ビンビサーラで、彼はインドに於いて勢力を拡大しました。
ビンビサーラの後継者でマウリヤ朝3代のアショーカ王が、インドをほぼ統一しました。
ポロスと母アヌスヤが夢見たインドの統一は、ここにおいて遂に成し遂げられたのでした。
ビンビサーラ王時代のマガダ国の首都が王舎城(ラージャグリハ)であり、釈迦がこの都市でマガダ国王ビンビサーラと高弟シャーリプトラ(舎利弗)、マウドガリヤーヤナ(目犍連)らの有力な帰依者を得たことが、仏教の発展に繋がったわけです。
チャーナキヤがナンダ朝をチャンドラグプタとともに滅したのは、そこまで見透していた可能性も否定できません。
『般若経』はじめ『法華経』『無量寿経』など仏教経典の多くが、この都市近郊にあった霊鷲山(りょうじゅせん、ラージギル)や竹林精舎(ちくりんしょうじゃ)を説法の舞台としています。
同様に多くの説法の舞台となった祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)のあったコーサラ国の舎衛城(しゃえいじょう、シュラーヴァスティー)と並び、仏教にとっては重要な聖地です。
王舎城の外輪山の中に「七葉窟(しちようくつ)」といわれる洞窟があり、ここで釈迦入滅後に弟子達が集まり、伝えられた教えを確認し合う第1回目の「結集(けつじゅう)」が行われました。
次回作ドラマ「チャンドラグプタ」のためチャーナキヤの俳優を変えた?
さて、マガダ国のナンダ朝を倒し、マウリヤ朝をチャーナキヤと共に打ち立てたチャンドラグプタ。
実はこのチャンドラグプタこそが『ポロス』のクリエイターでありプロデューサーでもあるシッダールス・クマール・テワリーが次回作の主人公と考えた人物なのです。
そのため『ポロス』シーズン5から、テワリーがチャーナキヤの俳優を急に変更したようです。
そのあたりについては、『ポロス』あらすじ,俳優の素顔,シーズン5は?史実は?2人の俳優降板理由をご覧ください。
2019年に『Chandragupta Maurya(チャンドラグプタ・マウリヤ)』は制作され、その中でもダナナンダ王を演じたのは『ポロス』と同じくSourabh Raaj Jain(サウラブ・ラージ・ジャイン)。
『Chandragupta Maurya(チャンドラグプタ・マウリヤ)』でチャーナキヤを演じたのも『ポロス』のシーズン5と同じ俳優タルン・カーンナ(Tarun Khanna)です。
↑『Chandragupta Maurya』でチャーナキヤを演じたタルン・カーンナ
最後に、ダナナンダ王を演じたサウラブ・ラージ・ジャインの素顔(インスタ)をご覧ください。一緒に写っているのはインフルエンサーのRidhima Jain(リディマ・ジャイン)さん。「ダーリン」だそうです。つまり愛妻。インドのイケメン美女のカップルです。
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