『アンオーソドックス』あらすじ,ネタバレ,解説,感想,エミー賞[心に残るドラマ]

©️Netflix(画像以下同)
はてなちゃん

心に残るドラマを紹介してください。

そんなあなたのご要望にお応えします。

ニューヨークにはユダヤ教の古くからの教えを厳格に守って暮らすオーソドックス(超正統派)と呼ばれる人々がいる。

今回紹介するドラマは、そこで暮らす19歳の女性が主人公だ。

結婚という新たな人生の始まりに心を弾ませていた彼女だが、実際の結婚生活は苦痛の日々。

耐えられなくなった彼女は密かにコミュニティを脱出し、母親が住むドイツへ向かう。

タップで飛ぶ目次

『アンオーソドックス』あらすじ

エスティは19歳で結婚。ユダヤ教超正統派の教えでは女は10代のうちに結婚しなければならない。

19歳のユダヤ人女性であるエステル・シュワルツはヤコブ(通称ヤンキー)と結婚し、エステル・シャピロとなった。

通常エスティと呼ばれるエステルは、ニューヨーク市ブルックリンのウィリアムズバーグにあるユダヤ教の超正統派コミュニティで厳しい戒律の下、結婚生活を送る。

しかし、夫との性交がなかなかうまくいかず、妊娠を待ちわびる義母からの圧力や干渉に苦しむ。

1年経っても妊娠しないエスティに対し、ヤンキーは離婚を告げる。これも姑の意向だ。

離婚を言い渡されたエスティは、妊娠を隠したまま周囲には黙ってコミュニティを脱出し、幼い頃に生き別れた母親が住んでいるドイツのベルリンに飛ぶ。

ベルリンで世俗的な新たな生活を見い出し、彼女が従って来た教えを否定した日々を過ごす。

彼女が妊娠していることを知った彼女の夫は、ラビ(ユダヤ教の司祭)の命令で、彼女を連れ戻すために彼のいとこと一緒にベルリンに向かう。

『アンオーソドックス』登場人物

エステル(エスティ)・シャピロ 主人公。19歳で結婚させられ、義母などからしつこく妊娠するためのセックスを干渉される。

ヤコブ(ヤンキー)・シャピロ エスティの夫。母親の言うことが大事なマザコン。

モイシェ・レフコヴィッチ ヤンキーのいとこ。借金をチャラにする条件でラビからエスティを連れ戻すよう命じられる。

リア・マンデルバウム エスティの母親。エスティが幼い頃、ドイツへ去り、介護の仕事に就いている。

マルカ・シュワルツ エスティのおば。エスティに結婚話を持って来る。

バビー エスティの祖母。母親に代わってエスティを育てた。

ロバート 音楽院の友人。エスティと深い関係に

ヤエル 音楽院の友人。イスラエル人女性

サリム 音楽院の友人

ダシア Dasia 音楽院の友人。黒人女性

『アンオーソドックス』ストーリー詳細

『アンオーソドックス』予告篇

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『アンオーソドックス』解説

『アンオーソドックス(Unorthodox)』は、2020年3月26日にNetflixで配信が始まったドイツ系アメリカ人のドラマで、イディッシュ(Yiddish)語初のNetflixシリーズだ。

超正統派コミュニティの部分は、ニューヨーク市のハシディック・コミュニティであるサトマール運動を去ったデボラ・フェルドマンによる回想録『Unorthodox: The Scandalous Rejection of My Hasidic Roots (English Edition)』(2012)に基づいている。

ドラマの中での言語は、英語からイディッシュ語、ドイツへと切り替わる。

音楽院は、バレンボイム音楽アカデミー(Barenboim-SaidAkademie)を参考にしている。

脚本のアンナ・ウィンガーは「ガーディアン」に次のように語っている。

「バレンボイムと呼ばれる本物の音楽アカデミーがあります。ユダヤ人とイスラム教徒がまるでユートピアのように古典的な音楽を一緒に演奏するアカデミーです。ベルリンでしか始められないような機関で、この考え方に触発されました」

原作の著者フェルドマンは、脚本のウィンガーとカロリンスキーに、彼女の自伝をテレビシリーズ化するよう働きかけた。

彼らにはドイツ系ユダヤ人であるという共通点があり、プロジェクトを引き受けた。

フェルドマンは実在の人物であるが、脚本は架空のベルリンの舞台で彼女の人生から離れたが、回想シーンは彼女の著書に基づいている。

制作チームは、ウィリアムズバーグのブルックリン地区に2回の調査旅行を行い、建物を見学し、物語の一部が設定されているサトマール・ユダヤ人のコミュニティの人々と会った。

ドイツでキャストされたジェフ・ウィルブッシュ(モイシェ役)は、サトマール・コミュニティ(エルサレムのミーシアリム地区)のネイティブ・イディッシュスピーカーであるという点で、4人の主演俳優たちの中でユニークな存在だ。

撮影はニューヨークで始まり、その後ベルリンに移った。そこでプロダクションデザイナーはブルックリンのエクステリアと同期するCCCFilmstudios でインテリアセットを作った。

ベルリンの撮影では、音楽院とその周辺のセットとして機能したポツダム広場や、ナチスによって「ユダヤ人問題の最終的解決」が計画された湖畔の別荘があるヴァン湖でロケが行われた。

結婚式の2日間の撮影は複雑な作業であり、文化的祝賀を正確に描写する必要があるため、約100人のエキストラが用意された。男性が女性よりもはるかに多くのヘアメイクを必要としたという。

コスチュームデザイナーのジャスティン・シーモアはウィリアムズバーグで服の一部を手に入れたが、高価な毛皮の帽子「シュトライメル」は手に入らなかったため、ミンクの代わりにニセの毛皮を使ってハンブルクの劇団によって作られた。

『アンオーソドックス』の感想

女は10代のうちに結婚せねばならず、結婚したら髪を丸刈りにされ、早く妊娠しなければならず、夫とのSEXに姑が口を挟む。

筆者は女ではないが、こんなことは想像しただけでもつらい。

日本でも髪やSEXは別として戦前は似た傾向があったかもしれないが、このドラマの主人公が生きているのは現在だ。

彼女が暮らすのはニューヨークだが、ユダヤ教超正統派(ウルトラオーソドックス)という厳格な教えが支配するコミュニティだ。

冒頭の記述も、オーソドックスの教えに沿ったものなのだ。

嫁姑の戦いは時と所を超えた普遍的なものかもしれないが、夫婦のSEXにまで踏み込んで来るのは、稀ではなかろうか(あるかもしれないが)。

膣拡張機なるものまで手配される主人公エスティの気持ちを考えると堪らない。

しかも、1年妊娠しないからと言って、母親の意向で息子である夫から離婚を申し渡されるエスティの気持ちはいかほどか。

ちょうど妊娠が判った直後だったにもかかわらず、そのことを告げず黙ってコミュニティを脱け出す彼女の気持ちはよく分かる。

エスティの母リアはイギリス出身ながら17歳でオーソドックス信徒の男と結婚した。

つまりそれがエスティの父だが、飲んだくれの放蕩息子であったため、リアは離婚する。

コミュニティを脱け出したエスティは、母リアが暮らすベルリンの母親の許へ向かうが、母が女性と同居しているのを見て、母に告げず黙って去る。

エスティは、ベルリンの音楽院で知り合った学生たちとヴァン湖に行くことになる。

そこはかつてナチスが、ユダヤ人問題の最終的解決と呼ばれるホロコーストを決定した地であった。

その湖に入った時、エスティは、ウィッグ(カツラ)を外す。

女が人前で丸刈り頭を見せるのは恥ずかしいことで、タブーだ。

エスティはここでオーソドックスのタブーを破ったわけで、これは彼女がユダヤの教えに逆らい自由を手に入れ始める象徴的シーンだ。

ジーンズも然り。口紅も然り。ロバートとの関係にしても、エスティはその後も次々とタブーを破って解放されていく。

エスティは、ピアノで音楽院のオーディションを受けようとするが、ピアノもタブーのため、彼女はニューヨーク時代も3年間、内緒でピアノを習っていた。

3年ピアノを習ったくらいでは音楽院に受かるはずもなく、友人からその甘さを指摘されたエスティはオーディション当日、ピアノから歌に変更する。

実力がまったく分からないのにオーディションを受けられるのも日本ではあり得ないことだと思うが、ステージに上がってから審査種目を変更するなんて、ちょっと信じられない。

日本が硬すぎるのか、あちらが柔軟なのか。

歌も最初は、シューベルトの『音楽に寄せて』を歌うが、「今の歌はソプラノ向きだが、あなたの声はメゾソプラノだ」と言われ、ではとユダヤの歌を歌う。

これも随分と柔軟だなと思うが、この歌が心を打つ。

会場で聞いていた人々の目には涙が滲む。

夫ヤンキーも駆けつけ、エスティの歌を聴いていて、オーディション終了後、エスティと対面し、今までのことを侘びる。

自分も変わるからやり直そうとヤンキーは関係修復をエスティに懇願する。

だが、夫ヤンキーが詫びても、殻を抜け出し、自由を知ってしまったエスティにとっては、「もう遅い」。

元の生活に戻ることはできないのだ。

ヤンキーがちょっと可哀想な感じもするが、気付くのが遅すぎたのだから仕方ない。

それにしてもドラマのタイトルが洒落ているというか深い。

英語のオーソドックスは正統派という意味であり、超正統派はウルトラオーソドックスの訳だが、アンを頭に付けると否定形になり、非正統派ということになる。

エスティは自由を得るためにユダヤ教のオーソドックス派を否定するのであり、つまりアンオーソドックス(非正統派)とはエスティのことである。

ではエスティは一般的にアンオーソドックスかというとそんなことはない。

『アンオーソドックス』をより深く理解するためのユダヤ教の基礎知識

タルムード 2世紀頃からユダヤ人の間で幾たびも議論の末に改良を重ねられてきた生活および思想の基礎でありユダヤ教の聖典。タルムードは(ヘブライ語で研究の意で、モーセが伝えたもう一つの律法とされる「口伝律法」を収めた6部構成、63編の文書群。

トーラー ユダヤ教の聖書(タナハ)における最初の「モーセ五書」のこと(成文トーラー)。また、それに関する注釈を加えてユダヤ教の教え全体を指す場合もある。

ミクラー キリスト教の『旧約聖書』に相当するもの。

ミツバ(ミツワー) 13歳に達するとバル・ミツワー(成人式)の儀式が行われ完全に大人と同様と扱われる。

安息日 安息日と呼ばれる休日を週1回は必ず取り、安息日の間は労働はしてはならない決まり。自分自身を見つめ、自分や家族と対話して過ごす。

ハシディック ウルトラオーソドックスとも呼ばれる、超正統派ユダヤ人。彼らは長いもみあげ、三つ編み、黒い帽子、黒い服の装いをぢている。

ミクヴェ(ミクワー、ミクウェ) 水槽などの水に頭まで浸かり心身を清め祈る宗教的な行為。ドラマの中ではエスティが「妻になる方法」として毎週金曜日にセックスし、生理が終わったら1日2回検査し、7日間汚れなけれなミクヴェの後に夫とセックスして良いと教わる。

シュトライメル 安息日や儀式の際に男が身につける円筒形の帽子。

超正統派(ハシディック、ウルトラオーソドックス) このドラマで描かれたニューヨークのウィリアムズバーグもそうだが、ユダヤ教の中でも最も厳格な教えに忠実に生きているのが超正統派(Hasidic)と呼ばれる人たち。
ニューヨークのコミュニティには超正統派の中でもサトマール派というハンガリーの町シャトマールを起源にもつ宗派に属する57万人が暮らすが、彼らには多くの決まりやタブーがある。
たとえば食べ物はコーシャといって教えで認められたもの以外は食べてはいけない。
服装も男は黒い帽子、黒いコート、黒いズボンと黒尽くめ。三つ編みの髪も特徴的だ。
女は襟の詰まったシャツとロングスカートないしはワンピース。10代で結婚しなければならず、結婚した女の髪は丸刈りにされ、スカーフかカツラをかぶる。
「産めよ、増えよ」という聖典の言葉にに従い、超正統派の家庭は子だくさんだ。
男女別学で、未婚の男女は一緒に歩いてもいけないし、女性の生理は不浄とされ、生理中、夫は妻に触れてはならない。
LGBTQ、避妊、中絶は認められない。
インターネットの使用も禁じられているから主人公のエスティも、ドイツの図書館で初めてインターネットをやる。
何をするにもラビに従わねばならず、逆らってコミュニティを離脱したら親子と言えども絶交となる。
また、彼らはシオニズムに反対している。ドラマではモイシェがベルリンのホテルでイスラエル人と間違わられ、「シオニストめ!」と悪態を突く場面がある。つまり、彼らはイスラエル建国に反対で、パレスチナの人々を追い出すような形で成立したイスラエル建国を間違いだと考えている。
また、ユダヤ人がヨーロッパで世俗化したことに対する神からの「天罰」としてホロコーストが起きたと考える。

ハシディックとは、18世紀後半に東ヨーロッパから始まった敬けんな運動から生じた正統派ユダヤ教徒の教派「ハシディズム(ユダヤ教敬けん主義)」を信じる人々のことで英語ではウルトラオーソドックス(超正統派)と呼ばれる。

『アンオーソドックス』への批評家の評価

『アンオーソドックス/Unorthodox』は、広く批評家の称賛を受けた。レビュー集約ウェブサイト「ロッテントマト」(RottenTomatoes)は、41件のレビューに基づいて95%の承認率を報告。平均評価は8.09 / 10だ。

『アンオーソドックス』のドキュメンタリー

Netflixは、このドラマの創造的なプロセスと、撮影を記録した20分間のドキュメンタリー『メイキング・アンオーソドックス(Making Unorthodox)』をリリースし、本とテレビ番組の違いについて説明した。

『アンオーソドックス』データ

題名 『アンオーソドックス』 原題 「Unorthodox」
 アメリカ、ドイツ
言語 イディッシュ語、英語、ドイツ語
公開日 2020年3月26日
時間 52-54分
チャンネル Netflix

『アンオーソドックス』受賞歴

受賞:第72回(2020年)プライムタイム・エミー賞リミテッドシリーズ部門の監督賞(マリア・シュレーダー)

ノミネート:主演女優賞(シラ・ハース)、脚本賞(アンナ・ウィンガー)、作品賞などのプライムタイム・エミー賞にノミネート

『アンオーソドックス』キャスト

エステル(エスティ)・シャピロ(Esther “Esty” Shapiro)役 シーラ・ハース(Shira Haas)1995年5月11日イスラエル生まれ。『Broken Mirrors 』(2018)、『Princess』 (2014) 、『Pere Atzil 』(2018)で知られる女優。

ヤコブ(ヤンキー)・シャピロ(Yakov “Yanky” Shapiro)役 アミット・ラハヴ(Amit Rahav)『Dig 』(2015)、『Mekulalim』 (2018) 、『Mishpaha Sholetet』 (2014)で知られる俳優。

モイシェ・レフコヴィッチ(Moishe Lefkovitch)役 ジェフ・ウィルヴィッシュ(JeffWilbusch)

ジェフ・ウィルブッシュはイスラエルとドイツの俳優です。ウィルブッシュは1987年11月14日にイスラエルのハイファで生まれました。 彼はエルサレムのMeaShearimのHasidicJewishSatmarコミュニティで育ちました。 彼は14人の兄弟の長男です。13歳のとき、彼はコミュニティを離れ、教育を終えるためにアムステルダムに移りました。 彼は経済学を学び、2011年にアムステルダム大学から国際経済学の修士号を取得しました。 大学院の学位を取得した後、彼はミュンヘンに移り、2015年までオットーファルケンバーグ舞台芸術学校で演劇を学びました。2018年、彼はBBCでAntonMesterbeinの役割を果たしました-AMCミニシリーズTheLittle Drummer Girl、およびドイツ-ルクセンブルグのテレビシリーズBadBanksでNoahWeisz。 2020年に、彼はドイツ系アメリカ人のNetflixオリジナルミニシリーズUnorthodoxでMoisheLefkovitchを描写しました。英語、ドイツ語、オランダ語、ヘブライ語、イディッシュ語に堪能。アフリカの言葉、アラビア語、Flemish、ロシア語、スペイン語も話す。

リア・マンデルバウム(Leah Mandelbaum Schwartz)役 アレック・スリード(Alex Reid) 『Misfits/ミスフィッツ-俺たちエスパー! 』(2009) 、『ディセント』 (2005)で知られる英国の女優

バビー(Babby) 役 ディナ・ドロン(Dina Doron)1940年イスラエル生まれの女優。『エージェント・ゾーハン 』(2008)、『 Moses the Lawgiver』 (1974) 、『The New Media Bible: Book of Genesis』 (1979)に出演。

ロバート(Robert)役 アーロン・アルタラス(Aaron Altaras) 1995年11月21日ベルリンで生まれの俳優。監督兼女優のアドリアーナ・アルタラスと作曲家のヴォルフガング・ベーマーの息子。 9歳の時にテレビの『モーゲルパックンマン』で最初の主要な役を演じた。それ以来、彼はテレビや映画に数多く出演。『 Wenn der Vater mit dem Sohne』(2004)、『Allein unter Bauern』(2006)、『Hoellenritt』(2007)。『Nicht alle waren Moerder』(2006)では、生き残ったユダヤ人の少年、MichaelDegen役で有名俳優に。この映画はドイツで最も権威のあるテレビ賞の1つであるグリム・プライスを受賞。 サッカー好き。

マルカ・シュワルツ(Malka Schwartz)エスティのおば・役 ロニット・アシェリ(Ronit Asheri)『Revivre』(2009)で知られる女優。

ダシア(Dasia)役 サフィナツ・サタール(Safinaz Sattar) 『Sløborn』 (2020)、『タートオルト』 (1970) 、『 Paradiesvogel 』(2020)で知られる女優。

『アンオーソドックス』クリエイター

原作 『Unorthodox: The Scandalous Rejection of My Hasidic Roots (English Edition)』デボラ・フェルドマン(Deborah Feldman)著

脚本 アンナ・ウィンガー(Anna Winger)アレクサ・カロリンスキー( Alexa Karolinski)ダニエル・ヘンドラー(Daniel Hendler)
監督 マリア・シュレイダー(Maria Schrader)
製作国 米国、ドイツ
言語 英語、イディッシュ語、ドイツ語
配信 Netflix
リリース日 2020年3月26日

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