『もうひとりの息子』あらすじ,ネタバレ,キャスト,感想[心に残る映画]

はてなちゃん

心に残るおすすめの映画を紹介して欲しいのですが。

そんなあなたのご要望にお応えします。

赤ん坊取り違えの物語だが、その2人の子はイスラエル人とパレスチナ人。

お互いを憎み合っている地域の家族に起こった悲劇だが、

2家族が交流を深めるうちに、明るい光が見え始める。

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『もうひとりの息子』あらすじ

原題のポスター

イスラエルで暮らすフランス系ユダヤ人家族の一人息子ヨセフ(ジュール・シトリュク)は、兵役のために健康診断を受ける。

その結果、精神科医である母親(エマニュエル・ドゥヴォス)は、息子とは血がつながっていないという衝撃の事実を知ることに。

ヨセフが生まれた病院のミスで、パレスチナ人家族の息子ヤシン(メディ・デビ)と取り違えられたのだ。

『もうひとりの息子』登場人物

シルバーグ家(イスラエルのアブダビ)

ヨセフ イスラエルに住むフランス出身のユダヤ人の両親を持つ息子。音楽が好きで歌手志望。

アロン ヨセフの父で国防省に勤務。大佐で兵士たちは皆アロンを知っている。

オリット ヨセフの母。病院に勤める精神科医。自殺志願者を救う努力をしており、今までに1人を救って、毎年密かに生存を確認している。

カレン ヨセフの妹

アル・ベザズ家(パレスチナ)

ヤシン パリに大学の試験を受けに行っており、合格して帰省。医師を志し、パレスチナに病院を建てるのが夢。

サイード ヤシンの父。本来はエンジニアだが仕事がなく、車の修理工。楽器を弾くのが得意。

ライラ ヤシンの自慢の母。

ビラル ヤシンの兄。イスラエルを敵とみなして恨んでいる。

アミナ くったくない妹。

フィラズ 亡くなった三男。ヨセフ似。

ヨセフの友人

イーアン 男の友人。浜辺で遊ぶことが多い。

エテル イーアンが想いを寄せる女友だち。

ヨナ 女友だち。ヤシンに興味を持つ。

リサ 病院で出会った美女。ヨセフが一目惚れする。

『もうひとりの息子』予告篇(YouTube)

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『もうひとりの息子』解説

第25回東京国際映画祭で東京 サクラ グランプリ最優秀監督賞の二冠に輝いた感動作。

ユダヤ系フランス人のロレーヌ・レヴィが監督と脚本を担当した。

イスラエルとパレスチナという対立関係にある地域で、取り違えられた子どもをめぐる2家族の複雑な心境の日々が描かれる。

『リトル・ランボーズ』のジュール・シトリュクが悩める息子を演じ、母親を『リード・マイ・リップス』などのエマニュエル・ドゥヴォスが好演している。

『もうひとりの息子』感想

ざっとこの映画の説明を読んだ時、赤ちゃんの取り違えということだったので、新しくないテーマだと思ってしまった。

それで観るのを後回しにしてしまったのだが、これは単に赤ちゃん取り違えの映画ではなかった。

単にというと語弊がある。

赤ちゃんの取り違えは双方の家族に取り返しのつかない苦しみを与える、決してあってはならない悲劇である。

ただ、「取り違え」は世界中にあることで、日本でも実際にあって、ドラマにもなったことがあり、ドラマの材料としては珍しくないという意味で「単に」という言葉を使ったわけで、決して取り違え事件をを軽く見ているわけではない。

この映画が単なる「取り違え」ドラマでないのは、舞台設定にある。

取り違えにあった子が、それぞれイスラエル人とパレスチナ人だということだ。

イスラエルの国防省の大佐を父に、精神科医を母に持つヨセフと、パレスチナの本来はエンジニアだが村を出ることを許されない占領地区のため自動車整備工を業とする父と美人の専業主婦を母に持つヤシン。

この2人が18年前に取り違えられた原因が、湾岸戦争のスカッドミサイルから避難させたことにあったというのが、平和ボケした日本人には妙に説得力を持って迫って来る。

そして何より、話を複雑にするのはイスラエルとパレスチナの関係だ。

イスラエル建国や、古代ユダヤ人にまで遡らねばならない話で、ここで詳細を述べるのは不可能だ。

かいつまんで説明すると、次のようになる

紀元前の古代ユダヤ人はパレスチナ地方(イスラエルあたり)に住んでいたが、ローマ帝国に攻められ、散ってしまった。世界中で迫害されるユダヤ人は、自分たちの国をパレスチナ地方に建国することが永年の夢だった。
その運動をシオニズムと言うが、1910年代にイギリスがユダヤ人を味方につけるためその運動を認めた。第二次大戦後は、イギリスが統治していたパレスチナの委任統治を国連に委ね、ユダヤ人は1948年5月14日イスラエル独立宣言を行った。
同時にアラブ連盟5カ国(エジプト・トランスヨルダン・シリア・レバノン・イラク)の大部隊が独立阻止を目指してパレスチナに進攻し、第一次中東戦争(イスラエル独立戦争、パレスチナ戦争)が起こったが、イスラエルが追い返した。
こうしてパレスチナに住んでいたアラブ人は、イスラエルが支配するパレスチナ自治区に追いやられ、解放勢力との紛争が続いている。

こうした社会背景があるので、イスラエル人とパレスチナ人の赤ん坊の取り違えは、問題を複雑にする。

反イスラエルや反パレスチナの考えは、男たちにより色濃い。

ヤシンの兄に至っては、ヤシンがユダヤ人だと知ると可愛がって来た弟なのに、「弟じゃない。ユダヤ人だ。敵だ」と変わってしまう。

だが、最初はギクシャクしていた双方の家族の関係にも、交流を通して次第に変化が見え始める。

そんな矢先、ヨセフが悪いやつに刺されてしまう。

死に直面したヨセフは、自分が死んだら埋葬はユダヤ式かアラブ式かと考えたりする。

果たして、ヨセフとヤシン、家族がが出す結論は?

それにしても、取り違えが分かった時の、男親の狼狽(うろたえ)ようは何だろう。

母親は実の子に会いたいと直ぐ行動するが、父親は会おうとしないのはなぜだろう。

母親は自分が胎を痛めて産んだ子だから繋がりを感じられるが、男親は育てる過程で父親を実感していくから、実の子が別にいると聞いても混乱するのかもしれない。

イスラエルとパレスチナは憎しみが連鎖する地域であり、単純でないことは分かっているが、この2家族のように交流を深めれば、やがて分かり合って平和な地域になるのではと思えて来る、ハートウォームな映画だ。

『もうひとりの息子』データ

題名 『もうひとりの息子』 原題 『LE FILS DE L’AUTRE』 英題 『THE OTHER SON』


公開日 2012年
上映時間 105分
制作国 フランス
言語 フランス語

『もうひとりの息子』キャスト

オリット(Orith Silberg)役  エマニュエル・デヴォス(Emmanuelle Devos) 1964年5月10日フランス生まれの女優、監督、作家。 『キングス&クイーン 』(2004)、『Sur mes lèvres 』(2001) 、『 Le temps de l’aventure 』(2013)などの作品がある。

アロン(Alon Silberg)役 パスカル・エルベ(Pascal Elbé)1967年3月13日フランス生まれ。俳優、作家、監督。『 Tête de turc 』(2010)、『 Père et fils』 (2003) 、『Je compte sur vous 』(2015)などに出演。

ヨセフ(Joseph Silberg)役 ジュエル・シトロク(Jules Sitruk)1990年4月16日フランス生まれの俳優、監督、作家。『リトル・ランボーズ 』(2007)、『Bob et les Sex Pistaches』 (2013)、『 Windows』 (2016)で知られる。

カレン(Keren)役 Marie Wisselmann

ヤシン(Yacine Al Bezaaz)役 Mehdi Dehbi 俳優。『誰よりも狙われた男』 (2014)、『Messiah』 (2020)に出演。

ライラ(Leïla Al Bezaaz) Areen Omari 女優、プロデユーサー。 『Ticket to Jerusalem 』(2002)、『Attente』 (2005) に出演。

サイード(Saïd Al Bezaaz) Khalifa Natour イスラエル生まれの俳優。『ティクン 世界の修復』 (2015)、『Al qods fee yom akhar 』(2002) 、『Parmi nous』 (2012)等に出演。

ビラル(Bilal Al Bezaa)役 Mahmud Shalaby 1982年7月19日イスラエル生まれの俳優。『Une bouteille à la mer』 (2010)、『Les hommes libres』 (2011)がある。

アミナ(Amina)役 Diana Zriek

ダヴィッド(David)役 Bruno Podalydès 1961年生まれのフランス人俳優。『パリ、ジュテーム 』(2006)など。
ラビ役 Ezra Dagan 『シンドラーのリスト』(1993)、『America 3000 』(1986) 、『Nurit』(1972)。
ヨナ(Yona)役 Tamar Shem Or


イーアン(Ilan)役 Tomer Offner 『約束の旅路』 (2005) など。
エテル(Ethel)役 Noa Manor


リサ(Lisa)役 Shira Naor 1993年米ロサンゼルス生まれの女優。

actor’s photo : IMDb

『もうひとりの息子』クリエイター

監督 Lorraine Lévy
プロデユーサー Virginie Lacombe、Raphael Berdugo
音楽 Dhafer Youssef
撮影 Emmanuel Soyer
編集 Sylvie Gadmer

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