家族の愛と葛藤を描くドラマ『チェサピーク海岸』あらすじ、キャスト、感想｜打ち切りの理由と映画版の可能性

家族愛をテーマにオブライアン家の4世代にわたる生活を描き、シーズン6まで続いたアメリカの人気ドラマ『チェサピーク海岸』のあらすじと解説、キャスト、筆者の感想などをお届けします。

『チェサピーク海岸』あらすじ

ウォール街で活躍する二児の母が故郷のチェサピーク海岸にUターン

ニューヨークのウォール街でバリバリ働くキャリアウーマンのアビー・オブライエンは34歳、9歳と7歳の娘がいる。

物語は、アビーがまだ高校生だった頃、日課だった朝のジョギングから始まる。

ジョギングから家に帰ると、母親のメーガンが子どもたちに別れも告げずに荷物をまとめて出ていこうとしていたのだ。

話は15年後に飛び、アビーはニューヨークのマンションのランニングマシーンで走るアビーを映す。

キャピタル・マネージメント社のオフィスで忙しく働くアビーの携帯電話が鳴る。

電話は妹のジェスからで、アビーに実家に帰って来てほしいという。

「生死に関わる問題」だという。

半年前の年末に返ったばかりだというアビーにジェスは食い下がり、アビーは根負けして了承する。

アビーの故郷チェサピーク海岸は、父ミックの二世代前の先祖が移り住み、築いて来た美しい景観の街だった。

ジェスは実家を出たが近くのキュートな家を購入し、B&B経営をスタートさしょうとしていたのだが、銀行へのローンの支払が滞って抵当権の行使を受けんばかりのピンチを迎え、金融に詳しい姉を頼ったのだ。

事業家である父に頼めば話は早かったが、ジェスは父に頼みたくなかったのだ。

アビーには、ジェス以外にシカゴで脚本家として活躍する妹ブリー、アフガニスタンに出兵している弟のケリー、ロースクールに通う弟のコナーがいる。

つまりオブライエン家には3姉妹2兄弟の子どもたちがいたが、皆外に出てしまい父のミックと祖母のネルだけが残っていた。

アビーとジェスが銀行に出向くと、銀行を経営するローレンス・ライリーではなく息子のトレイス・ライリーがいた。

トレイスはアビーにとって高校時代の彼氏で、将来を誓いあった仲だったが、アビーがニューヨーク大学進学の時に、別れも告げずに彼の元を去ってしまった過去があった。

トレイスは、バンドの道に進み、楽曲がラジオに流れるほどの成功を収めたが、何らかの事情があって半年前に帰郷していたのだ。

アビーはニューヨークにいた母とは近所だったので娘を預けたりなどの交流があった。

だが、妹のジェスは自分が幼いときに母親から捨てられたという思いが強く、母を赦すことができないでいた。

母のメーガンは子どもたちも連れて行きたかったが、学校もあるということで父親が反対し、仕方なくおいて行ったのだが、ジェスにすれば「子どもより大切なものがある？」と納得できない。

トレイスは、ミックが所有していたビーチハウスを購入し、修理する日々を送っていた。

絶対売らないと言っていたみミックがなぜ売ったのかアビーが尋ねると、父は彼の言葉に心が動かされたからだという。

「人生最良の時を思い出す」と彼は言ったのだという。

しかも、18歳の頃からしつこく請われ続けたので、根負けして６年前に売ったのだという。

子を捨てた母、多忙で子を顧みなかった父との和解は？

すぐにニューヨークに戻るつもりだったアビーだが、飛行機に乗り遅れたり、祖母のネルが倒れて病院に運ばれたりのアクシデントがあり、故郷の滞在は長引く。

都会のニューヨークを離れ、風光明媚な田舎街で家族と過ごしているうちに、アビーは気づきを得る。

娘たちの発表会もあまりの忙しさで忘れて参観しなかったことを知った。

娘たちをベビーシッターにあずけ放ったらかしていた。

外を走って深呼吸するのも久しぶりだった。

自分の中で何かが変化しつつあった。

アビーは、誰もが羨むような自分と夫と娘たちの生活が順調だと思っていたのに崩れ去ったことを自覚した。

祖母が倒れた報せを聞き、次女のブリーがシカゴから帰省する。

ネルは息子のミックに言う。

「娘が３人揃った。償いをする良い機会だわ」

「何不自由なく育てた」

「あの娘たちは父親を求めていた」

ミックは家族のために一所懸命働いたのであり、謝る必要なないと母ネイルに言う。

「謝れとは言ってない。あなたは入学式や卒業式を何回見逃した？」

努力はしたというミックにネルは、「でもメーガンは出て行った」と返す。

「昔のことだ」という息子に母は、諭す。

「過去は変えられないけど、未来は作れるのよ」

７月４日の独立記念日を祝う花火が海岸で打ち上げられているところへ、母メーガンがやって来る。

ミックは傍で驚くアビーに言う。

「前に進むため和解が必要な時もある」

続いて２人の息子も帰って来た。

ミックが呼び寄せたのだった。

こうして家族全員が揃い、失われた時を取り戻すべく日々の暮らしが始まる。

15年前、子どもたちをおいて去った母。

事業経営に多忙で子どもを顧みなかった父。

お互いを思いやりつつも肝心なことになると口をつぐんでしまうオブライエン家の人々。

アビー、ブリー、ジェスの3姉妹とケリーとコナーの２兄弟、彼ら５人が親との関係をどう立て直し、また、彼らのそれぞれの恋人と彼らがどう関係を築いて行くのか。

ミックは弟との問題も抱えていた。

美しい街でオブライエン家を中心にさまざまな人間関係を温かい眼で見つめ描いた作品だ。

『チェサピーク海岸』解説、シーズン6で打ち切りの理由、映画バージョンは？

「チェサピーク海岸」は、シェリル・ウッズ（Sherryl Woods）による同名の小説シリーズ“A Chesapeake Shores” を基に製作されました。

2016年8月14日にホールマークチャンネルで2時間のプレミアが放送され、その後、2022年のシーズン6まで続きました。

2021年3月、トレース役のジェス・メットカーフがシリーズを降板することが発表され、彼が演じるトレースの出演はシーズン5の途中で終了となりました。

シーズン5からは代わりにロバート・バックリーが起業家エヴァン・キンケード役でメインキャストに加わりましたが、惜しくもシーズン６で打ち切りとなりました。

シーズン6が最終シーズンであることは、2022年3月に発表され、シーズン6の最終回は2022年10月16日に放送されました。

Netflixでは最終回が2022年10月17日に配信されました。

ただ、プロヂューサーのサットンが「TV Insider」に語ったところによれば、状況が許せば、スピンオフや続編の映画が制作される可能性があるようです。

サットンによれば、「そのような話し合いを進めています。詳細はまだ分かりませんが、オブライアン一家を見るのはこれで最後ではないでしょう」だそうです。

https://twitter.com/hallmarkchannel/status/1542197558885289985

アビーを演じた主演女優のミーガン・オリーは、シーズン6の撮影を終え、自分の公式インスタグラムで次のように述べました。

「チェサピーク・ショアーズ」の6シーズン目が終了しました！私はこのシーズンを#hyperemesisgravidarum（妊娠悪阻）で始め、#covid（新型コロナ）で終えました。本当に大変なシーズンでしたが、素晴らしいキャストやクルーの皆さんが私が誰かに吐かないように我慢してくれました。私の素晴らしい旦那の@johnny_reardon_には、家を守って私を支えてくれてありがとう。そして、私たちの2人のナニーたちにも感謝しています。両親がテレビ番組に出演しているため、2人のナニーは必要不可欠でした！最終シーズンを楽しんでくれるすべての人に感謝します！Xo

シリーズ打ち切りの理由

番組が打ち切られるという発表は、シーズン6の放送前にされました。

そのの理由は明確にされませんでしたが、シリーズ打ち切りの理由として、視聴率の低下があることは間違いないでしょう。

ジェシー・メトカーフがシーズン4の終盤でトレイス・ライリー役を離れ、シーズン5では最初の数エピソードにしか出演しなかったことが、視聴率低下を招き、シリーズがキャンセルされる原因となった可能性が言われています。

事実、シーズン5の視聴率は、前シーズンと比較して15%低下したと言われています。

個人的にはエヴァン・キンケード（ロバート・バックリー）が出てきてからのほうが明るくユニークで好きですが…。

ホールマークチャンネルは視聴者数の低下を打ち切りの理由には挙げず、次のようにコメントしました。

「私たちは『チェサピーク・ショアーズ』にとても誇りを持っています。この番組は想像力を掻き立て、自然な結末に向かっていたので、この夏に放送されるシーズン6を最後にシリーズを締めくくることにしました。」

シリーズ打ち切りの理由を「自然な結末」、つまりストーリー上の問題だと述べました。

当初打ち切りの理由を発表しなかったことについては、次のようにコメントしています。

『チェサピーク海岸』の視聴率は低下していたものの、依然としてホールマークチャンネルのファンの間で人気がありました。そのため、最初は打ち切りの理由については明かさない方針でした」

『チェサピーク海岸』キャスト

トレイス・ライリー（シーズン1-5）…Jesse Metcalfe ／ミュージシャンで、アビーの初恋相手。高校卒業後、アビーは彼に何も告げずにチェサピーク・ショアーズを去ってしまった。

アビー・オブライエン=ウィンターズ…Meghan Ory ／高いキャリアを持つニューヨーク市のキャリアウーマンで、２人の娘のシングルマザー。ミックとメーガンがもうけた5人の子供の長女。トレイシーは高校時代の元カレで、チェサピークに帰ってから恋愛が再燃する。

メーガン・オブライエン…Barbara Niven ／ミックの元妻で、15年前に家を出て行ったことで子どもたちは恨んでいる。彼女はミックが選択の余地を与えてくれなかったと主張している。

ジェス・オブライエン＝ペック…Laci J. Mailey／アビーの妹で、老朽化した家を買い取り、B&B（ベッド＆ブレックファースト）を始める。早くも破綻寸前で、彼女はらアビーに助けを求める。

ブリー・エリザベス・オブライエン…Emilie Ullerup ／アビーの妹で、シカゴ在住の劇作家。最初の作品は絶賛されたが、その後の評価は下り坂。祖母が倒れたのを機に故郷に戻る。シカゴの演出家が恋人だったが、チェサピークで作家サイモンとの交際が始まる。

ケビン・オブライエン…Brendan Penny／ミックとメーガンの長男。元々は米軍の衛生兵で、医者を目指していたが、ひょんなことから救命士の道へ。

コナー・オブライエン…Andrew Francis／ミックとメーガンの次男で、当初はロースクールの学生だったが、司法試験に受かり弁護士に

ネル・オブライエン…Diane Ladd／ミックの母親。メーガンが家を出てしまってからは、多忙なミックに代わりネイルが子どもたちの面倒をみた。

ミック・オブライエン…Treat Williams／５人の子の父。メーガンの元夫。建設会社を経営し多忙。

トーマス・オブライエン…Gregory Harrison／ミックの弟

エヴァン・キンケード…Robert Buckley（シーズン5-6）／成功した起業家で、開発プロジェクトを町に持ち込む。後にアビーの恋人に。

サラ・マーサー…Jessica Sipos／女性消防士で、ケヴィンの恋人

デヴィッド・ペック…Carlo Marks／ジェスのB&Bのシェフ兼雑用係だが実は大富豪の御曹司。ジェスと恋仲に。

キャリー・ウィンターズ…Kayden Magnuson／アビーの娘

キャスリン・ウィンターズ…Abbie Magnuson／アビーの娘

レイ・コーレー…Brittany Willacy／トレイシー・ライリー・バンドの一員。チェサピークに引きこもったトレイシーをバンドの世界に引き戻そうとチェサピークにやって来る。（シーズン1〜3）

ダニエル・クレイマン…Britt Irvin／コナーとは同じロースクールの同級生で、後に恋愛関係に

ウェス・ウィンターズ…Michael Karl Richards／ アビーの元夫であり、ケイトリンとキャリーの父。（シーズン1〜3）

サイモン・アトウォーター…Oliver Rice／小説家でありブリーの恋人。（シーズン2〜4）。

マーガレット・ケラー…Raylene Harewood ／コナーが大手事務所にいたときに知り合い、後にコナーが法律事務所を立ち上げた際に、コナーのパラリーガルとなり、やがて恋人に。（シーズン5-6）

物語の舞台チェサピークとは？実際のロケ地は？

チェサピーク海岸は、バージニア州、メリーランド州、およびデラウェア州にまたがっていますが、タイトルにもなっている「チェサピーク海岸」は、米国バージニア州にあります。

チェサピーク海岸は、ニューヨークから車で４〜５時間、フィラデルフィアからは車で2~3時間、ワシントンD.C.からは車で1.5〜２時間のところにあります。

しかし、実際のロケ地は、ブリティッシュコロンビア州のバンクーバー島のようです。

『チェサピーク海岸』への評価

映画やテレビドラマの米国の批評サイトIMDbのレートで7.5/10.0。最終回エピソードは、全シーズンの中でIMDbで最も高く評価されたエピソードで、全体的な評価スコアは9.6/10.0。

同じくRottenTomatoの平均視聴者ススコアは88%。

日本のFilmarksの評価3.6/5.0。

『チェサピーク海岸』を観た感想

心が温もる家族愛の物語で個人的には好きなドラマです。

アメリカ合衆国バージニア州チェサピーク海岸の経済的にはかなり恵まれ、美しい自然に囲まれた街の大きな家で暮らす家族が描かれているので、狭い家に暮らす日本人にとっては羨ましくもあり、現実感が欠けているようでもあります。

ただ家族間の軋轢や葛藤、和解は世界共通のテーマであり、共感できる人も多いでしょう。。

問題を抱えたこの家族を修復するために不可欠な存在がアビーから見た祖母のネイルです。

優しく息子やその元妻、孫たち、ひ孫たちを見守り、要所要所でさりげなく意味深長な助言をします。

人生経験を積んだネイルの優しさが、このドラマに厚みを加えています。

たとえば、故郷に帰ったアビーが、至るところに知人や友人がいて、自分の行動が逐一知られてしまうことに、「プライバシーがない」と不満を漏らすと、ネルが「プライバシーがそんなに大切？」と言ったりします。

３人の娘たちが揃った時に息子のミックに、「償いをする良い機会よ」と助言し、ミックが変わる切っ掛けを作ったりします。

ミックとの復縁に踏み切れないメーガンに向かってネルは次のような示唆に富んだ言葉を発します。

「傷ついたら癒やせばいい。たとえ失敗しても後悔に比べればつらくない」

女優ダイアン・ラッド（Diane Ladd）が実に適役で、祖母の理想像といったところです。

余談ですが、トレースの飼い犬アクセルが最初はゴールデン・リトリーバーだったのに第３話から突然、シェパードに代わっていたことに気づいた人は多分犬好きでしょう。

『チェサピーク海岸』制作データ

• 原作…Sherryl Woodsの“A Chesapeake Shores” 小説シリーズ
• オープニングテーマ…Adam Woodall Bandの「Coming Home Soon」、Daughtryの「Home」
• 製作国…アメリカ合衆国、カナダ
• 言語…英語
• シーズン数…6
• エピソード数…55話
• エグゼクティブプロデューサー…John Tinker、Dan Paulson、Martin Wood、Nancey Silvers、Sherryl Woods、Michael Berns、Phoef Sutton
• プロデューサー…Matt Drake
• 製作地…ブリティッシュコロンビア州のバンクーバー島
• 撮影方式…マルチカメラ
• 放送時間…48-96分
• 製作会社…Chesapeake Shores Productions Inc. (S1-S5)、Daniel L. Paulson Entertainment
• 配給…Borderline Distribution, Inc、Sony Pictures Television（国際）
• 放送局…Hallmark Channel→Twitter
• 放送期間…2016年8月14日-2022年10月16日

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